介護人材の不足で、介護ロボットを導入しようかという意見は、前から提唱されている。
たしかに、需要と供給が釣り合わなくなる現象は、現に来ている。
施設などの流れ作業が必要な場所では、それなりに活躍は期待できるかもしれない。
ただ、気になるのは、人肌の温もりが介入しなくなる点である。機械化や、オートメーションは、たしかに業務効率化に貢献するだろう。
街中でも、スーパーや映画館などは、スタッフの数も減り、機械による支払いが増えている。
介護、特に訪問介護などは、いくら業務効率になるといえど、無機質なロボットで、果たして利用者は満足するのだろうか。高齢の利用者は、テクノロジーと無縁な生活歴が多い。慣れれば大丈夫かもしれないが、違和感は残るだろう。
畳の上や、人肌の温もりといった概念は、日本人が代表する、大切にしてきた文化である。日本人は、テクノロジーの追求・改良には優れているが、原点回帰的な意味でも、少なくとも訪問介護においては、人による介護を大切にしていくべきではないか。
ロボットで、対人コミュニケーションにおいて、利用者の感情の機微を汲み取ることや、臨機応変なあたたかい対応は、はたしてどこまでできるのか。
高齢者と図書館に対する扱いで、その国の文化的尺度がはかれる、という言葉を聞いたことがある。
世界的に見ても、超高齢社会であるこの国が、いずれは世界にアピールしていける点があるとすれば、それはAIやテクノロジーに勝る、有機的な人間の心の温もりそのものかもしれない。
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