最近、漫画のキャラクター「ちいかわ」が子供に人気だ。デパートのキャラクターグッズ売り場では、親子連れをよく見かける。
この漫画は、ネコの姿を彷彿とさせる泣き虫の主人公が、仲間とかかわりながら、独自の世界で生きていく話だ。キャラの可愛さ以上に、大人社会への風刺・啓蒙・哲学思想などが、実はストーリーに巧みに組み込まれている。
障がい児童の支援は、高齢者介護等より難易度が高いとはよく聞く。教育・保育だけでも難しいのに、更に福祉支援活動も加えると、関わり方に悩む。
関わって感じるのは、大人になってからだと、なぜかノスタルジックに子供時代を懐かしんでしまうことが多くなる。
当時、家族や友達と過ごした時間、場所、すべてが懐かしい。そして、すべて、二度と追体験できない、二度とあの時間は戻ってこないのだ。この世界が、いつまでも続けばいいのに、とは誰もが思ったことがあるのではないか。
児童にとっては、経験が不足しており、まだまだ自分でできることは限られている。しかし、限られた能力のなかで、精一杯できることをするのは、だれでもできる。
英語で、障がい者はかつて、disable people (不具合のある)と表記されたことがあったが、現在はchallenging people となっており、良い言葉だと感じる。
児童の世界は経験不足から厳しいこと、わからないことも多いが、限りないチャレンジができる選択肢があるのだ。周りの大人たちの適した支援で自立を近づけ、良い方向に向けることもできる。
「ちいかわ」の世界の主人公は、泣きながらでも勇気を出して行動し、成長していく。友達を守るため怪物にも立ち向かうし、友達に勇気づけられて、初めてラーメン屋で外食することにも挑戦する。
大人になってから、忘れかけていた大切な何かを思い出させてくれる。シンプルなのだが、深い。シンプルだからこそ、子供にも受ける。
本当の意味で自立した大人になるとは、年齢を蓄積させるのではなく、チャレンジを決意したその瞬間なのかもしれない。
時間というのは、巻き戻すことはできない。ただ
、誰かのためにチャレンジできる時間をいっしょに創造していくこと、福祉支援のできることはそれかもしれない。