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生きにくい時代を牽引する

連日、列車による人身事故のニュースを目にすることが増えたように思う。突然の事故に狼狽し、駅に立ちすくす人々の姿は忘れられない。


乗車中にそのアナウンスが流れたこともあり、

1時間以上列車が止まったことがあり、周りの乗客は、またかといった感じであきらめてスマホに眼を投じていた。「生きにくい時代」という見出しの記事があちこちに踊る。


もちろん、平成や昭和の時代にもあったのは事実で、いまほど情報過多にさらされていないため、今まで表には出てなかっただけも考えられる。


犠牲者も、若い学生から高齢者まで幅広い。理由は色々あるだろうが、ある疑問が残る。


どうせこの世から消え去るなら、まわりの人々に迷惑をかけないようにしたい、という気持ちもあるだろう。列車を止めたことで、遺族への慰謝料は法外に来るらしい。なのに、なぜこんな目立つ行動にでるのか。


色々調べるうちに、或る共通点として、衝動的に消え去る行為に至るというものだ。今日、飛び込もうと前から決心していたわけではなく、なぜかふらっと飛び込んでしまう例も多いと聞く。これは、飛び込み以外の行為にもあてはまる。


もはや、当人が脳や倫理や道徳で制御できないのだと思う。だから犠牲者を一方的に責めるのも違うと感じる。


矛盾するようだが、そういった衝動的な破滅行動も、人間の一種の防衛反応なのかもしれない。肉体を消滅させてしまうことで、これ以上の自分や他者への被害を食い止めるための。


しかしながら、刹那的に消え去る命に対し、それに抗い予防線を張るのも医療介護の役割りである。


出会うまでは赤の他人同士であったが、ケアする側、される側で心の交流・魂の共鳴が生まれる。


我々人間は、赤の他人同士であっても、見えない糸で結ばれているという話しを聞いたことがある。


介護者の至高の使命感とは、今にも飛び込まんという人の糸を永続的に引っ張り上げることそのものなのかもしれない。

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